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2023年度3年生へ

もうすぐ卒業ですね。学校もあと数日です。

現在(2月19日)最後の送別の動画を作っていますが、今年は非常に苦戦しています。

今までで一番苦戦しているかもしれません。

なぜなら、キーポイントとなるような出来事が多すぎるからです。

一つの物語にまとまる気がしないです。

怒涛の一年間でした。あっという間というにはあまりに多くのことがありすぎました。

なのに、終わってみればあっという間でした。

 

みんなはどのように3年間を考えているのでしょうか。

今年はいろいろな考えがある気がします。

丁寧に言葉を残してください。

感情は言葉によって形を得ます。その形は、君たちの頭にずっと残ることになります。

その言葉にもう一度納得したり、違う見方を加えたりする時、

おそらく第二の人生に動き出すときです。

感情は、形を与えなくてもずっときみたちによりそって居てくれますが、

形を与えた方が、人生を助けてくれる気がします。

 

第二の人生まで一緒にいることになるのが今考えてもらっている卒業の言葉です。

そこで、絶対忘れてはいけないのが、感謝の言葉です。

これは、機を逃すと伝えられなくなります。

わたしも今までに伝えられなくて何度も後悔してきました。

具体的に思いつく限り伝えてください。これを見た時点で卒業の言葉を書き終えていたとしても、

もう一度後悔のないように書いた方が良いです。

あとは、自由に語ってください。

 

私から送る言葉というには違う気もしますが、

私が君たちをどう見ていたのかを伝えさせてください。

 

数えきれない試合を君たちと一緒に戦いました。

学校の誰よりも、なんなら自分の子供たちよりも長い時間を君たちと過ごしてきました。

でも、結局わからないことばかりだった気がします。

理解してあげられなかったことばかりでした。

 

それなのに君たちは、監督の私を助けてくれて、ついてきてくれました。

本当に感謝です。それと同じ以上のものを君たちに伝えられたでしょうか。

だから、一人ずつに具体的な話をさせてください。

 

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水渡朝飛

繊細さを引きずりつつも、それを少しずつ強さに変えることができた男。真面目そうに見えてふざけた性格。笑いのセンスを持ったボランチだった。Aチームで十分やっていける強さとうまさを2年次までに身に付けたにも関わらず、良いところでBチームで出直す決断をした。人間関係や自分らしさを模索していたのかもしれない。常に繊細な感性を持った選手だった。しかも怪我も重なってしまった。つぶれてしまうかもしれないと常に心配だったが、なんとBで野田や春山の信頼を得て、少しずつ強くなっていった。自分がチームを必要とし、チームから必要とされていることが分かったのかもしれない。Bチームがアサヒのチームみたいになった時は笑ってしまった。アサヒのドリブル、ボールさばき、お前は良いものを持っていたよ。アサヒよ、2年の冬にまたABを選べるとしたら、今のお前ならどっちを選ぶ?もっと一緒にやりたかったなー。でもどの指導者もお前に対してそう思うのかな。魅力的な選手だったよ。

 

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黒澤翔

昭和第一学園のバグった心臓クロサワ。この男のロングランの速さについていける奴は今後もなかなか出てこないであろう。技術がない。判断が悪い。ただ、そんなことは小さいことなのかもしれないと思ってしまった。無尽蔵のスタミナと、足の指で地面をつかむような人並外れた馬力のスプリント。FWは背中で語るものであるが、その背中で何試合チームを勇気づけただろう。お前は確かに私生活では成績や髪形で怒られること多数だった。3年になってからも、何度怒ったことか。でも、試合中のお前の背中は立派だったよ。普段の走りでもいつも一番だったもんな。試合に出られなくても、怒られても、そこは曲げなかったもんな。不器用でお前らしくて、お前しかできないことだよ。どう、3年間走り切れたかい?「走りこむ」ってのはお前みたいなやつのことを言うのかもな。

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横川駿

昭和第一学園のバグった成長曲線、シュン。お前、入ってきたときと別人になっちまったじゃないか。いつもマイペースで人に無関心で、怒られてもすべて聞き流していたお前が…!きっかけはBチームでリーダーやったところからかな。あの時期のお前は目つきが違ったもんな…。何があったのか教えてくれよ。まさかお前がA1のサイドで出る試合が来るなんて思いもしなかったよ。夏合宿の30KMマラソン完全独走にしかり、フィジカルの半端ない向上がすごかったよ。Aチームの奴らが、シュンをA1の試合に出してほしいと言ってきた時は感動してしまったな。最後、引退かリーグに残るか決めるとき、お前は迷わずやる決断をしたな。おれはその決断だけでも3年間の価値があったと思ってるよ。ありがとうな。最後やるって言ってくれてさ。こんなバグった成長見せられたら、今後の指導者人生変わっちまいそうだよ。

 

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斧田颯太

フィジカルモンスターソウタ。お前の跳躍力は歴代1位ではないだろうか。しかしお前は強くなったな…!最後のT3昇格戦の時に残ると決断したお前だけど、今までのお前なら辞めてたよな。お前は、挫折をいっぱい繰り返してきたもんな。お前からしたら何で試合に出られないんだ、何でAに上がれないんだ、の繰り返しだったと思う。何度グラウンドで泣いている姿を見たか。それでも仲間に支えられながら、何度這い上がってきたか。最終戦には出られない可能性の方が高かったじゃん。それなのに、お前が最後やりたいと言ってきたときの顔は最高だったよ。出られない可能性があっても、可能性にかけて努力して前向きに進む姿は、うちの理念そのものじゃないか。挫折を繰り返してもなおあきらめなかったお前だからこそできた選択だな。最後出してやれなかった。でも、お前がいてくれてよかった。一緒に3年間戦いきれた気がした。お前はどう思ってるんだろう。教えてほしい。

 

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立川創登

前十字靭帯断裂をしてしまった選手は、みんなこいつを見てほしい。大丈夫だ。必ずグラウンドに帰ってこられるし、やってない時間は無駄な時間なんかではないんだ。今でも覚えているよ。Aチームの選手に、今一番良い選手はタツカワで、スタメンにも関わるかもしれない、と話したその日の練習で前十字靭帯を切ってしまった。変な前振りをしてしまった気分だったよ…。でもお前は明るかったなー。くじけた顔見せなかったもんな。強かったよ。お前だってつらさややりきれなさがあったはずなのに。そのサポートの時間が自分自身で大切にできたのか、復帰してからそのできなかった時間をがつがつと取り返していったな!暑くてヘロヘロになって、もうだめだ、みたいな顔してるお前見ても、絶対替えるか!今までの時間取り返してこい!お前は耐え続けた男だ!って思ってたよ。まあ、毎回へばってたけどな笑。でも一試合やり切れるようになった初めての8月の試合を見て感動したな。よく耐えたな。あとはさ、一緒に勝ちたかったな。

 

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山城暖

おそらくハルは口から生まれてきたのではないだろうか。なんだお前は。黙れないのか。しかしこの代の判断の中枢はハルだったのではないだろうか。誰よりも早く相手を分析し、誰よりも早く解決案を出せる選手。こんなにサッカーIQが高く発信力がある選手はうちのチームではなかなか見たことがない。毎年欲しい選手かもしれない。ただ、調子乗りなところがあるのでめきめき走れなくなっていく。インターハイをピークとして夏の調子の崩し方はすごかったな。走れないことを改善するために自分で走っているときに転んで手首を折ってきたときはあきれたよ。まあ、そんなとこもお前らしいのかな。まったくしょうがない奴だけど、お前がいるとやっぱり楽しいわ。もっと一緒に強い相手と戦いたかったな!いろんなチーム相手にさ、頭使って解決してやりたかったな!わくわく感をありがとな。お前はどの試合が楽しかったんだろう?

 

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大和久優海

お前の高校サッカー人生は簡単には語れないな。他人が成功や失敗を簡単に語ってはいけない気もするよ。普通に見たら試合に出る成功した選手だし、選手権でもゴールをあげた選手だ。一方で最後の最後の試合だけ出られなかった選手だ。1年次は試合に関われるか未知数な選手だったけど2年次の地区リーグを経てめきめきと成長していった。CBでAチームにも入ってきて堅実なプレーでスタートも奪う。ただ、出られなくなっても良いから中盤をやらしてほしいと言ってきて、試合に出られなくなるだろうな…と思いきや、中盤で試合に出始める。お前はいつの間にか根性つけたなー。入ってきた時からぐっと我慢することを覚えて、仲間からの言葉にも耐えて、自分を見失わないようにしてきた姿は立派だったよ。選手権の延長戦でお前を出したのはさ、そんなお前の挫折と情熱に掛けたんだよ。お前は思いっきりやってくれたよ。勝たせてくれると思ったんだけどなー!うちのチームを選んできてくれてありがとうな。※先日中学生の保護者からメールをいただきました。「明星戦を見に行っており、試合後に、選手が観客席の一人の選手に駆け寄って抱き合っていた。その選手は今まで元気に応援していたのに、私服のフードを深くかぶり号泣し始めた。観客席から見ているだけではわからないストーリーをそこに感じて、非常に感動した。良いチームだと思った。」とのことでした。すごく応援してくれている方からのメールでした。まあ、そこにはストーリーがあるよな。調子の波が激しいのもお前らしいよ。

 

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染谷律稀

クラッシャーリツキ。ガツンと相手をつぶし、申し訳なさそうな顔を全力でして、野田に怒られて替えられる…。これ何回か見たな笑。そして実は面白い武器を持っている選手。体の強さ、ボールのためを作れるボールコントロール、そしてドリブル。野田と春山がお前の報告を事細かくして来るたびに、え、そんなことできるの?と言った感じだった。走れないし、どっか痛いとすぐ休む。もう途中からお前がどこか痛いんですけどと言ってきても、「そうか、お前はやれ。」しか言ってなかった気がするよ。しかし最後は休まず必死にできてたなー。それが3年間だったらどんな選手になっていたのだろうか!「たられば」は意味ないと思うけどさ、ついお前には思ってしまうよ!いいか、自分に期待しろ。自分を信じろ。自分を鍛えろ。必ずお前はもっと成長する。自分なりに、じゃだめだ。他の奴に負けるな。ライバル作って勝負してこい。

 

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田中瑠貴

お前は自分のサッカー人生をどうやって評価しているのだろうか。おれはお前に対してこんな風に思っていたよ。1年次。なぜこの子はサッカー、しかもGKをやってるいのだろう。できないことが多くて、体も小さくて、やっていても悔しさが一番にくるだろうな…。2年次。何があったんだ。どうした。なぜこんなに急にうまくなった。筋力が上がったのはもちろん、なぜそんなに自信をつけた!まさかサブのゴールキーパーはルキにしてほしいとスタートの奴らがいう日が来るとは…。3年次。ここまで成長したらもうひと伸びができたのではないだろうか。最後に失速した感じがする。でも、それを乗り越えたら、またもう一つ成長できるのかもしれない!という感じだ。お前は子供っぽいというか、落ち着きないところあるけど、良い顔できるようになったな。本当に試合の時にぐっと引き締まった自信を持った顔ができるようになった。これからの人生、ここであきらめなかったことは絶対忘れるな。それと同時に、さらにもう少し伸びることができたかもしれないということも忘れるな。今後が楽しみだ。必ず顔出しに来いよ。

 

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日原和暉

ブレない男。そして、永遠のリーダー。AもBも皆が認める責任感がある男。チームを愛してどんな役割でもやってくれる裏切らない男。しかし、途中からおれはカズキをリーダーからはずすべきだと思っていた。カズキをリーダーにすればチームは1番良い状態になる。しかしカズキ自体が伸びるためにはリーダーの重荷をおろしてあげた方が良いかもしれないと思っていた。リーダーを他の奴にやらせた方がカズキはもっと自分のことをもっと伸ばせるのではないかと…。しかし、3年間終えてみて思ったのは、カズキはそんな程度の器ではなかったのかもしれないということ。こいつはいくら与えても飲み込めるだけの深い器があったのではないかということ。結局は深いところに水は流れる。最後までやっぱりカズキの存在感はでかかったもんな。結論。カズキはすごい。お前は3年間をどのように考えてるんだろう。すごく気になる。ただ、これだけは伝えとくな。お前がいてくれてよかったよ。ありがとな。

 

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小嶋航

昭和第一学園のエース。と、おれが期待していた男。感性抜群の浮き球のコントロール、背面からのボールをコントロールできる技術、得点を取るための天性の感覚。コウのプレーが好きだった。試合を変えることができるのはこのような選手だと思っていたし、今でもこの代の勝利はコウの力が大きいと思っている。しかし、調子のりでさぼる性格から守備が雑になっていく。基礎体力はある方だが献身性に体力を使えない。それを繰り返すことでチームメイトから信頼を失い始める。まあな、攻撃の選手は往々にしてそんなもんだ。でも、お前自身、最後の試合ももっと出たかっただろう。全部出し尽くしたかっただろう。その時間を獲得するのはセンスだけじゃ足りないのかもな。まあ、そんなしまりのない終わりもお前らしいけど。もっとみたかったなお前のプレー!あの柔らかいタッチ!ドリブル!PK以外は期待できたな。サッカーを面白くするならお前が必要だ。信頼得るためのあとちょっとは、これからの人生の課題にしなさい。ワクワクをありがとう。

 

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中村俊介

規格外の男。この代でメンタル最弱の男。なのに他人に見捨てられない謎の魅力がある男。とにかく辛抱弱い。ロングランの遅さはピカイチ。人にできないドリブル、迫力を出せるのに。話を聞いていないように見えて、素直で優しい。おれが思うのは、こいつはただただ気が小さいだけの男なのではないだろうか。中学生の時にセレクションに来た時のインパクトや魅力は今でも忘れられない。この選手をうまく育てていけば絶対ビッグな選手になるはずだと確信した。そして3年間、いろんなスタッフであの手この手でアプローチしたが、ことごとく失敗した。われわれの指導は全敗したのだ。しかし、そんなシュンスケが最後までやりきれて、最後の試合になんだかんだフル出場して、昇格への決勝点まで決めてしまったのは、すべて仲間のおかげかもな。口うるさく言ってくれる仲間、悩みや苦しみに共感してくれる仲間。その仲間こそがおまえの実力を引き出してくれていたのかもな。これからも支えてくれる仲間がお前の周りにいてくれることを願っている。そして、いつかお前も仲間を受け止めて支えられるようになってほしいな!

 

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淋優希

この選手がいなかったらリーグ優勝はありえなかったのかもしれない。性格的には大人しく、ポジションもCBなのか中盤なのか、2年次のリーグのあたりでも不安定だった選手。ただ、落ち着いたコントロールに球際の強さが少しずつついてきて状況が変わってくる。A1に割って入ってきて、いつのまにか「ソソギじゃ不安だ」、から、「いざとなったらソソギがいるから大丈夫」、に変わっていった。CBはキャプテンのヒロトと現在のキャプテンのショウが絶大の信頼をにぎっているなかで、中々スタートにはなれなかった。しかし、二人にトラブルがあった時はスタートで出ることもあった選手。常に準備をし、常に良いパフォーマンスを出し続けることは本当に難しい。ソソギがいたからこそ思いっきり戦えた。いなかったら交替カードも戦略も変わってしまっていた。立派にA1だった。ソソギがいてくれてよかった。特に大森学園戦のラスト10分は頼もしかったなー。

 

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坂元尚侍

A2のほこるテクニシャンで攻撃核を任された男。最初は全然意志を発してこない選手だったのが最後は常にチームの中心として活躍していた。特に野田が丁寧に役割を与えてくれたからなのかな。見違えるように躍動していったもんな。ハーフスペースにローリングしてきてそこでターンしてからの攻撃のスイッチ!やはり外から見ててもぞくぞくするプレーだったよ。得点のセンスにも以外と恵まれ、エリア外あたりからのシュートが意外と入る。そしてエリア内のシュートはブロックされているのしか見たことがない。フィジカルに恵まれたわけではないから苦しんだ部分も多いと思う。特に夏の時期や地区一部ではボールが安定しない中で戦わないといけなかった。それでもハーフタイムにお前がポジティブな雰囲気で帰ってくるのを見て頼もしかったよ。アローレ八北の時だったか、左サイドでナオジが無双していた試合が忘れられない。メンタルがそんな強い選手じゃなかったけど、自分のスタイルが通用しない試合でも体を張って戦い続けられるようになったお前は、立派に社会でも戦っていけるよ。自信を持ち続けて、ずっと明るくいられれば、お前は最強だ。

 

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中島大翔

昭和第一学園が誇る部長。いやいやお疲れさまでした。大変だっただろう、この代をまとめるのは。入ってきた時から責任感が強く、常にまとめ役で動いていた。全員がこの選手にひとまず任せておけば、多少の面倒くさいことや雰囲気をしめることはやってくれるといった感じだった。抜群のコーチングと発信力を持ちながら、プレーで雑さや軽さが出てしまう。だから、チームをまとめるが、試合に出るのは違う選手という感じになってしまった。しかし、すごいのは3年になってからである。結局はプレーで出ている雑さや軽さはヒロキの人間的な雑さや軽さに原因があると自分で気づき始める。3年になってからヒロキは変わった。周りへの発信のクオリティをかえないまま、自分自身に矢印をしっかり向けた。特に自分の弱みを見せられるのは最大のセンスであった。弱みを見せれば軽く見られることもあるが、その分チャレンジが思いっきりできる。かっこつけていないところが最高にかっこいい男だった。いつのまにかこの選手はスタートとしてフィールドにたっていた。ここには書き足りないかっこよさがある。自分を知った男は最強だ。かっこつけるな。お前は十分かっこいい。

 

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諸川雄大

さぼらずに練習に来なさい。1年次にさぼった分の走り込みの清算がまだ終わってないので今すぐグラウンドに来なさい。

 

 

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小圷涼太郎

明るく、サッカーに対して真面目で、人に信頼される男。そして不器用な男。この男がいなかったらこの代は終われなかった。T3に昇格もなかったし、地区リーグも戦えなかった。もともと全力で練習をやり、責任感と発信力を持つ選手だったので2年次からずっとA2にいた。前年度に地区2部を優勝させた立役者でもあった。しかし中盤をやるにはミスが多く、守備をやるにはスペースに弱い。守備の当たりの強さを期待して選手権ではスタートで出ることもあったがなかなか居場所が安定しない。そんな時に自分自身のレベルアップとA2を救うために主戦場を地区1部に移す。熱量はあるが、リーダーが欲しい!というA2にカチッとはまった瞬間だった。リョウタロウはA1の選手たちからも信頼が厚く、そしてA2を鼓舞するリーダーになっていった。A1とA2が入学当初から一体感が持ちづらい代だったと思う。それを、ぐっと引き寄せてくれたのがリョウタロウだった。だから、リョウタロウなくしてこの代は終われなかったと思う。心の架け橋だったよ。リョウタロウがいてくれてよかった。一緒にサッカーができて良かった。感謝してる。ちなみにお前みたいなタイプはこれからうまくなる。間違いない。

 

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菅井哉太

チーム最速の男。めちゃくちゃ足が速い選手。中学生の時に練習に来てびっくりしたのを覚えている。しかしなかなかサッカーのプレーの中で発揮されない。良いドリブルは持っていたものの、連動が得意な選手ではなかったので、1年次は完全に埋もれてしまっていた。そんなカナタが成長しだすのは、春山が全力で指導してくれたからかもしれない。試合中にウルトラマンと言われているからなんのことかと思えば3分プレーヤーというダメ言葉であった。それが3分が5分、5分が10分と輝く時間が増えていく。春山と野田に役割を与えられて、自分でも思考し出す。このころから完全に顔も目つきも変わってしまった。おれが指揮をとって一緒に戦えた試合は少なかったけど、おれはお前の疾走感とドリブルが好きだった。走りこんでレベルアップした馬力のあるお前の走りが好きだった。入ってきたころとはまるで違う顔つきになってしまったカナタよ。良く成長したな。毎回のように見に来てくれていたご両親にも、感謝しています。選手たちのために写真を撮り続けてくれたことも感謝です。しかし、カナタが変わっていく様を、一番近くで見られたのではないでしょうか。これからもっと変わっていくと思います。カナタよ、自信を持て。お前は自信を持てば最高のパフォーマンスをだせる力がある。だからこそ、しっかり人より勉強して、社会に自信をもって出られるようにしろ。うちのチームにきてくれてありがとう。

 

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松浦康正

この代を象徴する男。この代はよく言えば明るい。悪く言えば人を小ばかにしたような印象を与えてしまう、申し訳ない代。ずばり、コウセイがそんな感じである。どれだけの相手を怒らせてきたか…。相手を誹謗中傷したりするようなことがあればそれは許さないが、そうではない。しかし、なんか相手をイラっとさせてしまう…。そんなコウセイもメンタルが強いわけではない。最初にAに来た時などはおれと一切目を合わせないようにしていた選手である。それが2年次に地区2部優勝で自信をつけ、A1に入ってくる。怪我をした時期に筋トレを初めて、体作りもしっかりできるようになっていった。インターハイでは大和南戦で苦しんだものの、そこからは圧倒的なパフォーマンス。相手のチームは口をそろえて左サイドに気をつけろと言っていた。爆発的なスプリント、今後現れないかもしれないくらい美しいスピードとパワーがのったクロス、もはやチームの武器であった。雰囲気だけではなく、プレーもこの代を象徴する男になった。でも、調子に乗ってはいけないよ。夏の時みたいに勘違いすれば空回りする。最後の試合みたいに常に献身的でいなさい。献身的なことを間違えなければ、お前の明るさはもっと活かされるはずだ。サッカーの辞め時を間違えるな。応援しているよ。

 

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小室翔舞

フィジカルギフテッドショウマ。サッカーの神様は技術とセンスをショウマからすべて奪った。そして異常なフィジカルをショウマに与えた…。この代の大切な試合を振り返ると必ずこの選手のプレーが思い出される。地区トップの順位決定戦堀越Bとの超ロングシュート、インターハイの一生語り継がれるようなロスタイム同点弾、極めつけは明星学園戦の開始1分の猛プレスからのボール奪取。人の記憶に一生残るシーンを演出してきた選手だ。堀越の得点を見てうちの入学を決めた選手がいるほどだ。そんなショウマも順風満帆なわけではない。うまく強い前線の選手の競争の中で、もがいてもがいて勝ち取った出場時間だった。明るくて優しくて気が利くやつだけど、工夫に微調整が利かない不器用な奴だった。いろいろできるわけじゃないけれど、ショウマにしかできないことをとにかくやる!と言った感じが、この代の力の合わせ方に合っていたな。替えの利かない男だったよお前は。だらしないところを直せばよりかっこいい男になれるはずだ!※私はマネージャーのことを自分の娘のように思っています。なにかあったら、一生、グラウンドに立ち入らせないことになるでしょう。一生。

 

 

気を付けてください。

 

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山本空宙

「キーパーは家族」それを一番感じ、一番守ろうとした選手。この代のGKはソラとルキだけだった。一方で上は絶対的なパフォーマンスを出していたリョウセイと、永遠の好敵手カマダとライジュ、お調子者のソウタロウといった4人ものGKがいた。ルキの伸びが出るまではほぼ一人でゴールを守るしかなかった。カマダたちと家族のような信頼関係を感じる一方で、どこか将来に不安と孤独があったのかもしれない。自分の代になっても、自信家の発言が他の選手と食い違ったり、他の選手の発言に傷ついたりしたこともあった。それでもおれはお前をリスペクトしているよ。だって、どんな時も、GK達を守ってきたじゃないか。それだけはブラさなかったじゃないか。お前はゴールを守ると同時に、GK達に声を掛け続けて、練習がオフでも下の試合に足を運んで、GK達を鼓舞し続けてきたじゃないか。不器用なところもあるし、うまく伝わったかはわからない。でも、おれはお前の真っすぐな気持ちが好きだったよ。だから荒巻さんも、タケオさんも、野田もみんなGKを理解してくれた人たちはソラを助けてくれたな。神がかった試合NO1は大森学園戦。NO2は明星学園戦。お前は歴代でも3本の指に入るくらいの立派な守護神だ。チームを昇格させたことに加え、「家族」を守り続けた守護神だ。「キーパーは家族」。続くといいな。

 

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水俣夏樹

中学時代からほれ込み、期待し続けた男。中学時代に練習に来た時から、この選手はうちの中心になっていく選手だと確信していた。事実、責任感とプレーの安定度を持ち、リーダーかつ主戦力になっていく。しかし、本当のナツキに気づけなかったのかもしれない。ナツキは納得できないとどうしてもプレーの質が落ちる。考えずにひとまずやろうといったタイプの選手ではない。だからチーム内の亀裂や納得がいかない指示が飛ぶと自分で抱え込んでしまう。おれはナツキがふっきれるにはどうすればよいか常に考えていたが、なかなか見つからなかった。圧倒的なデュエル能力、軽い身のこなしと力強いヘディング、他の選手にはまねできない立体的なパス。気持ちが軽くなり、これらが解き放たれた時、チームは覚醒すると思っていた。しかし結局は何もしてあげられなかった気もする。そして期待するあまりに責任を与え続けてしまったかもしれない。それでも最後の明星戦で、すべてをふっきったような献身的な守備、デュエルが見られて感動的だった。周りにサポートがいない状態でのボランチは苦しかったかもしれない。ただ、よく3年間責任を果たしてくれた。何か変えてくれそうな選手だと感じた3年前の予感は正しく、ちゃんと昇格させてくれた。感謝しているよ。

 

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染谷拓杜

抜けているヒーロー、ヒロト。こいつは抜けている。歴代キャプテンに比べて成績もそんなによくない。大事な試合で最後までフィールドにいた時は少ない。足をつって退場するパターンばかり。ただ、キャプテンはこいつしかいない。おれがもう一度キャプテンを決めるとしても、ヒロトを選ぶだろう。ヒロトは決してエリートだったわけじゃない。1年次ではボランチとしてパッとせず、全然主力扱いではなかった。一つ上でCBに抜擢したあともヘディングや浮き球の処理が悪く、T4の目白研心戦ではボコボコにされたのを覚えている。2年次の最後には一つ上のジンの伸びによってスタートにも出られなくなっていく。しかし、ヒロトのすごいところは、そこから目を背けないところだ。もともとが雑草だったから、気取ったそぶりがまったくない。それでいて、努力をすれば結果が出ることも知っている選手だ。だから、キャプテンとして自分の代で戦っていく中でも、嘘や表面的な言葉がほぼなかった。ついキャプテンは良いことを言おうとして表面的になることが多いが、ヒロトが伝えている言葉は本当に大切な言葉であって、本当に思っている言葉だった。理想を語っていても、馬鹿にできず、それが答えだとみんなを信じさせる力があった。お前のヘディングは美しい。なぜなら、努力の結晶だからだ。良いキャプテンに育った。良いチームを作った。自信を持て。これからも謙虚でいろ。ベスト8、お前といきたかったよ。

 

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渡辺恵生

中学時代から考えたらまるで別人。性格のやさしさなどは全く変わっていないが、圧倒的に「強く」なったと思う。それは、高校3年間の挫折や、サッカーへの想いがそうさせたのかと思う。2年次には圧倒的な運動量で中盤をけん引し、華々しい活躍を遂げていた。選手権では最後PKを外し、その想いを胸に自分たちの代で雪辱を晴らそうと思っていたと思う。ただその矢先、練習中に足首から落ち、結局半年近くかかる大けがをしてしまった。周りはいろいろな経験を積み、1つも2つも進んでいく。そんな中での焦りがヨシキから常に強く感じていた。復帰後も、チームがすでに超えていた課題であるセカンドボールの強度についていけない。もともとそこが弱い選手だっただけに非常に苦しんでいた。ただ、挫折もケガも、無駄なものなんてないのかもしれない。ヨシキを見ているとそう思う。あきらめるという無駄な感情が、すでに怪我をしているときに解決されているので、異常な成長を見せる。気づいたら、2年次のパフォーマンスなどとっくに超えており、チームの足りないパーツに、すっぽり収まってしまった。選手権の立川戦で決めたゴールは感慨深い。チームとしての決勝点であり、ヨシキの3年間が凝縮された得点。「強く」なったな。おれが思い描いていたよりも「良い男」として終えられた選手である。

 

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竹市竜万

冷静、クレバー、情熱的、それが合わさった選手。しかし圧倒的に足がおそい。試合に使っていくのは難しいかな…。そんな風に思っていたこともあった。ただ野田と春山からの信頼が抜群に厚い選手であり、試合を見た時には目を疑った記憶がある。足の遅さはポジショニングと予測でカヴァーし、適切なかかわり方で攻撃をけん引していく。この子は期待して、仕事を与えれば、1を2や3にできる子なんだな、と思った。実際にチームの班行動でリョウマが作った班は面白く、ノートを回して想いをつづったりしていた。話すことも的確で賢い選手だった。夏に地区一部を戦っていくときもリーダー的なふるまいをしながら、チームを鼓舞していた。あと少し欲を言えば、走りこみたかった。もっと走りこんで体力的に余裕があったら、もっと他の選手に発信できたし、活躍もできたはずだ。これからもおそらく謙虚に行動していろいろな人から信頼を得るだろう。その信頼にこたえようとしなくても良い。それよりも、自分に自信を持つんだ。お前が自信を持って行動してくれれば、必ず周りの人の信頼にこたえる形に勝手になると思う。自信を持つためにも自分に負荷をかけて、一つずつ解決していくんだ。おれはもっと高校サッカーでお前はできたと思っている。十分やり切った、なんて器ではなくて、お前はもっとできたと思っている。自信を持て。謙虚に努力して自信をつけろ。お前の未来が楽しみで仕方ないよ。

 

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川端隼人

全チームが認めたFW、カワバタ。Tリーグ、選手権、すべてのチームが事前にスカウティングして対策を組んでいた選手、それがカワバタだった。圧倒的なヘディング、研ぎ澄まされた空間把握能力に加えてボールを治められるコントロールテクニック。そして、決定力。ほぼ完ぺきみたいな選手だが、これはこの選手の努力のたまものでしかない。中学から入ってきた時にもともと持っていたのは体の強さとテクニック。1年次はとにかく声が出せなかった。声というより、意見を発することができなかった。一度Bに落ちて自信を付けた後に、徐々にカワバタ劇場が始まる。1つ上のミーティングでカワバタの意見をみんなが聞いてからみんなの心が動き始める。カワバタも自分の意見が伝わる実感がついたのかもしれない。そして自分たちの代になってからは信頼が大きくなっていく。そしてここで2度目の転換点。エゴを出せ!だった。周りを使い続けていたカワバタがゴールに迫りだした。それはチームからの願いだった。カワバタに点を取ってほしい。全員がそう思っていた。背中で見せる男カワバタはここで完成した。Tリーグで自信をつけていき、日大豊山2得点、明星学園先制点、大切な試合でしっかり結果を残している。修学旅行先のフリー時間にヒロトと筋トレをしていた話も面白い。お前もセンスの一言で片づけられたら嫌だろう?そう、努力の結果だよな。大エースに成長したお前をリスペクトするよ。

 

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小宮拓人

未完の大砲、コミヤ。センスでいったらカワバタに匹敵するものを持っている男。強靭なフィジカルとゲームのような軌道を描くシュート、その体に似つかないスピード感。どれも素晴らしいものだった。しかし長距離が苦手。自分と向き合う忍耐力がもっとつけば…と常に思っていた。それでも野田と相性がよく、どんどんと伸びていく。見る試合ごとに成長しており、将来が有望な選手だった。しかし成績不足でAチーム行きを流されるなど、抜けているところがありすぎる。ただ、そんなコミヤを事故が襲う。ボールで背中を強打したあと、入院になりドクターストップがかかってしまう。怪我の心配はもちろんだが、心が折れてしまうのではないかとすごく不安だった。センスはある。あとは自分と向き合う強さだけであり、頑固ささえ解消すれば必ず成功すると思っていたが、大切な準備の時期にドロップアウトしてしまうとは…。両親とも話しながら、常に心配していた。しかし、コミヤはしっかり成長していた。サポートの時期に心をまとめ、復帰していく段階では自分自身のことをよく理解した顔になっていた。コミヤの場合、できなかった時間をすべて取り返したとまでは思わない。でも、できなかった時間で、大切な1歩を踏み出せた選手だと思っている。この1歩はでかい。人生に価値が出る1歩だ。今までは与えられた環境をこなしてきたかもしれない。ただ、今回は、残りの時間とこの環境に自分で価値づけできた瞬間だったと思う。でもさ、そうはいってももう一度見たかったよ。お前のあの美しい弾道のシュートをさ!

 

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清松星冴

完全に一時代を作った男、セイガ。1年の冬だっただろうか。チームがセイガのものだった。圧倒的な運動量で仲間同士をつなげて回り、危険な芽を即座に身体を張ってつぶしていく。コート内もコート外もセイガ劇場だった。しかし、セイガが中心にチームが作られれば活躍できるものの、周りにごろごろリーダーシップがあるやつが出てくると、急に力が発揮できなくなってしまう。結局は人間がやるものはすべてメンタリティが必要なんだと思う。ある意味、成功と挫折を味わったのかもしれない。長期的な怪我にも悩まされて、プレーからはだいぶ長い期間離れてしまった。しかし、春山が最後に関わってくれた。あの圧倒的な存在感があった頃のセイガがここで復活した。しかも、チームのバランスを考えつつも自分と向き合うことにもう一度覚悟を決めた顔だった。この3年間を終えて、セイガはどのように思っているのだろうか。気になる。俺は正直、お前はもっと輝けたと思っている。ここでやりきったというレベルの選手ではないと思う。苦しいことも多かっただろう。納得できないことも多かっただろう。でも全部ひっくるめて、お前はもっと前に進める力があると思う。今後の成長が楽しみだ。必ず成長して会いに来いよ。

 

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𠮷田拓夢

なんだかんだ良い成長を遂げた男なのではないだろうか。タクムは最初はまったくもってチームに埋もれている選手だった。グラウンドでは黙々とやっているし、Bチームの試合では結構良さを見つけてもらえて活躍しているし、なぜ伸びきらないのだろうとおれは思っていた。それが、さすがは野田と春山である。普段はなるべく選手の良いところを報告しようとしている二人だが、タクムが伸びきらない理由を聞くとズバリ答えていた。あいつは人が見ていないところでさぼっています。と。意図的に手を抜いているのか、考えが及ばずそう見えるのか、もしくは両方なのか。だから、ライオウとタクムがやらかしたときにしっかり話を聞いてみようと思って話し込んでみた。そうしたら、案の定考えていなかった。そんなタクムも、派手な活躍は今までよりも少なかったが、徐々に献身的で、自分自身考えて動く機会が増えていった気がする。もともと良いスピードと面白い関りのタイミングがあったので、献身的にプレーすることでぐっとサッカーがうまくなった気がする。状況設定してもらって活躍していた選手が、どんな状況でも堅実に自分の良さを出せるようになり始めていた気がする。もしかしたらあと少し時間があったらもっとうまくなっていたかもしれない。どうだった?お前はサッカーが楽しめたか?おれはBでの活躍も好きだったけど、A2でのプレーも好きだったぞ。お前の感想が聞きたいな。

 

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村木義哉

豪快なプレーとは裏腹に繊細な男。武器は長いリーチからたたき出される爆発的なシュート。野性味あふれるプレースタイルで相手を威圧し、常に恐怖を与え続けてきた。ただ、この選手がこんなにもFWに向いていると誰が予想しただろうか。入ってきた時はCBをやっており、SBにはいっても技術が足りな過ぎてすぐにBに降格。ただここで野田が救う。ナリの性格を見抜きすぐにFWにコンバートすると解き放たれたように暴れ出す。FWに必要な技術も少しずつ身に付けていき、地区3部では調子乗りなところを怒られつつも見事Aチームに入ってきた選手だった。野田に感謝しなさい。おれは副キャプテンなどに向いてるかなと思っていたが、意外と繊細な男。プレー面で良いプレーができないと意外としょげてしまう。まあ確かに最初から最後まで技術や戦術理解度ではぎりぎりだったんだと思う。それでもよく食らいついてきたな。新人戦の初ゴールはナリのきれいなループシュートだった。それからもずっと第一線で走り続けたナリ。このチームの迫力はお前が作っていたんだ。お前やショウマみたいな選手がいるから他のテクニシャンたちが活きたんだ。おれはもっとゴールが見たかった。厳しいときに決める選手がお前であってほしかった。勝負っていうのは、ギラギラしたFWによって決まっていくんだ。むしろ最後になるにつれてゴールが減ってしまったけど、そこは今後の課題だな。いつでも強気でいなさい。

 

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田崎楓雅

フーガに対するスタッフ評はほとんど一緒だろう。派手な武器はない。でも、人と違うことができてを、試合を有利にしてくれるのはフーガだろう、と。器用さは入ってきた時からあった。足も速く、テクニックもある。しかしどこかスケール感に物足りなさがあった。サイドバックは武器の塊のような選手ばかりだった。しかし、新チームでAに滑り込んできたフーガがサッカーの面白いところを表現し始める。大味な選手たちの中で、地味な駆け引きでサイドに安定をもたらす。特に両サイドができる個性も身に付けて、一気に指導者やチームメイトから信頼を集めた。間違いなく苦しかった4・5・6月を支え続けた選手だった。よくぞここまで活躍していったと思う。賢いプレーヤーだった。一方で暑さが足を止め始める。賢さはうまく使わないと言い訳がましさと紙一重だ。怪我もあって苦しい夏だったのではないだろうか。成長がピタリと止まった。ただもしもきついところに蓋をして、成功した風に終わってしまっていたら面白くない選手になっていたかもしれない。シーズン中のお前も頼もしかったが、夏の分を取り戻そうとしてしがみついて最後のリーグ戦に向かうお前の方がかっこよかったよ。自分ができることを割り切れてた。「賢さ」に「割り切り」がくっついちまったらそれはすごい選手だよ。苦しかっただろう。しかし、かっこよかったし、感謝している選手だ。

 

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安達頼応

正直よく高校サッカーをちゃんと終わらせたと思う選手。もしも途中で辞めていたら、おそらく何も形にならなかったかもしれない。高校3年間をやりきった!というのとは少し違う。たぶんこの高校3年間の価値は、これからの人生の中で価値づけされていくんではないだろうか。右足しか使わないという縛りをどこかでしたのだろうか。本当に右足しか使わない。2年次に本人にもいったが、ライオウは意見をはっきり言えるし、のめり込めば責任感も発揮される。だからBで中心的になれる素質があると思っていた。しかし興味が多岐にわたるところもあり、またチームの波に乗り切れずに学校でやらかすなどしてプレーも散漫になってしまう。おれはいつも心のどこかで、こいつはもっとできると期待していた。それは部活だけではなく、授業も2年からずっと見ていたという俺自身の甘い信頼もあったのかもしれない。このまま終わるかと思った最後の夏、春山がライオウを輝かせた。ライオウは右足しか使えないんです。でも、今左足を使わせるよりも、そのプレースタイルを受け入れて活躍させようと思います。と聞いたときに、なるほど、と思ってしまった。事実ライオウは活き活きとしていた。正直できないことを埋める作業はみんな1.2年でやってきたし、おれはそこに悔いるようにライオウに左を期待していたが、まずは活き活きやるのが先決だったのかもしれない。ライオウは右足しか使わない左サイドバックを全うした。ライオウは高校サッカーでやってきたことを繰り返すのか、変えるのか、これからが大切な選手なんだと思う。一番ビッグになりそうな気もする。必ず帰ってこい。お前の将来に興味津々だよ。

 

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谷田倫太朗

ここ数年の選手の中で一番うまい。やわらかさ、しなやかさ、そこだけでいったら歴代でも1.2を争う選手だろう。しかしうまく生かせなかった。これは監督のおれの責任もあるかもしれない。入ってきた時はひょろひょろで、しかも細いパンツが履けなくなるから筋トレしたくないと聞いたときはひっぱたいてやろうかと思ったが、2年次から目の色を変えて体作りを始める。一番の輝きは2年次に行った夏の合宿で2位になった大会。リンタロウにボールが入るのが楽しみで仕方なかったくらいだ。この代は勢いも明るさもある。このチームがガムシャラなパワータイプになっていくか、変化をもったエンターテイメントを発揮できるかの命運はリンタロウが握っているとスタッフで話していた。しかし、無双した夏をピークにサブの選手に落ち着き始めてしまう。みんなが自分たちは強いと勘違いして、地味なきつい練習を避けていた。それが夏に向けてチームを穴だらけにしていった。リンタロウもばっちりその中にいた。今でも思う。リンタロウのスキルが中央で発揮される試合を監督の自分が作れていたら、どれだけの人たちがサッカーを好きになっていただろうと。逆に言えば替えのいる選手ではないので、チームの中心にそえるのは危険なのだが、期待してしまうよね。これからもサッカーをやった方が良い。お前とやる選手はみんなサッカーを好きになるよ。強くなった。たくましくなった。でもやっぱりお前の良さはエンターテイメントを発揮できるスキルだ。

 

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諸川雄大②

サボり魔。なのに攻撃センスでいったらこの学年1・2を争う選手。1年次はなぜかストリートバスケにはまる毎日。気づくといない。好き勝手をやった結果、コーチの手を離れて監督の私が呼び出すことに。私は一言目にユウダイにこう言った。「バスケやれよ。」と。しかしユウダイはなぜかサッカーをやらせてくださいとずっと頭を下げてきた。おれは不思議だった。嫌味でもなんでもなく、サッカーをサボってバスケをやりに行くなら「バスケやれよ。」と思っていたからだ。まあ長い謹慎の果てにサッカー部に戻るわけだが、しょうもなさはすぐには治らない。しかしなんだろうか。1周回って周りの奴らがユウダイを完全に受け入れていた。確かにお前にはしょうもないのに人を惹きつける魅力があるよ。しかもバスケの1対1の要素を取り入れたサッカーの1対1の圧倒的な強さは、もう規格外。こんな選手に育つなら、今後の選手でバスケをやりにいくサボりだけは認めようかと考えてしまう。どうだ、少しはまともになったか?チームで努力することは楽しかったか?みんなで勝つのは嬉しかったか?怒り続けたけど、バスケじゃなく、このサッカー部を選んでくれた時点で大切な仲間だったし、よく最後までやったと思っているよ。