去年からずっとあげていなかったリーグ1部の総括です。

非常に文章が長いです。

3年生と保護者向けのものです。

写真等はまたアップしますので、後日お楽しみ下さい。

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リーグ総括に当たって…

 

1,「この代で今までの結果のすべてを変える」

 

私にはそんな決意がありました。

この代は1年生で入ってきたときから「情熱」が違いました。

松澤、山下、御小柴、三枝、小林、奈良、吉川、渡辺、藤、木村、河岸、三宅、

豊住、吉澤、これらのメンバーは皆セレクションに来たメンバーです。

「昭和第一学園に入学する」とこれらの選手から連絡が来たときの、

あの感動は忘れられません。

前年までは3人程度だった単願入学者が16人以上になり、

今までのOBと作ってきたチーム作りの魅力が結実したと実感しました。

 

 

事実、他の入学メンバーも含め、この代はやることが違いました。

皆で急に坊主にしてやる気を高めたり、

オフよりも練習をしたいと言い出したり、

朝練に一生懸命来て自分を磨いたり…。

 

その情熱に動かされ、

昼休みに筋トレしたり、

知り合いの社会人チームや、フットサルの練習にも

しょっちゅう連れて行きました。

何よりも、入ってきたときから部の成長の指針である、

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ」

を自然と理解している代でした。

バイタリティ・潜在能力・サッカーに対する情熱・人間性、

それらの選手の持っているものに突き動かされて、

「勝たせてあげたい」というよりも、「勝たせなくてはいけない」という

使命を感じました。

 

 

ただ、結論から言うと、何も勝たせてあげられませんでした。

新人戦も優勝を狙いましたが3回戦で敗退、

インターハイはあと数十秒で東京都ベスト16を逃し、

選手権は1回戦負け。

リーグは結局3位でした。

申し訳ないという気持ちが本心です。

ただ、心から感謝をしていて、この1年に後悔がないというのも本心です。

 

 

2,後悔がない理由

 

「良いサッカーをして勝利をつかむ」

 

誰もが求める理想ですが、現実は甘くはありません。

たかだか2年ほどで質と結果の両方を求めることはできません。

今までは当然「勝利」のみを求めて切磋琢磨してきました。

2013年のキャプテン櫻澤から考えると、

2014年川越、2015年鎌田、2016年杉浦、

この4年間は堅守速攻をベースにした昭和第一学園の「勝負の世界」を作り上げた期間でした。

2017年の米川から少しずつボール保持を始め、

2018年の渡辺の代にきました。

 

最初、心から悩みました。

堅守速攻で鍛え続ければ、間違いなくベスト16は達成でき、

ベスト8を狙える代である。

しかし、このチャンスを逃せば、サッカーの質に広がりがなくなり、

昭和第一学園が全国に出るのは、あと10年は遅れる可能性がある。

 

「質」と「結果」

 

私は、選手達のバイタリティに突き動かされ、「質」をとりました。

そして、「結果」は選手の情熱にかけることにしました。

 

 

3,結果として何を残したか。

 

結果として数字で見るとわかりやすいですが、

2016年までのリーグの得失点を見てみると、

すべての代に共通しているのがリーグ内の得点数はほぼ真ん中より下。

一方で失点数の少なさはリーグ内でほぼトップです。

少得点、少失点のチーム作りです

 

それが、この代の結果を見ると、失点数の少なさはリーグ内でほぼ真ん中、

得点数はリーグで断トツでトップでした

(1位昭和第一学園25点、2位明大中野八王子20点、3位八王子16点)

つまり、リスクをかかえながらも、大量得点を維持し続けた代ということになります。

「守備」から「攻撃」にアイデンティティを変えたのです。

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4,リーグ1部

 

ポゼッション型のチームの監督がみな口をそろえて言うことがあります。

 

「生みの苦しみを耐えられるか。勝てなくても信念を変えずにできるか。

もし信念を変えれば結果は変わらない。負け続けることに耐えろ。」と。

 

「他のチームが2年かかることを、うちはこの選手達と1年間で達成してやる。」

前年の米川達にもらったきっかけを大切にして、この意志を強く持ちながら戦いましたが、

この戦いは想像以上に苦しい日々でした。

 

 

リーグ初戦

大成高校とのゲームはまさかの展開でした。

主力5人が怪我で離脱

サブの底力にかけました。

それでもさすがこの代です。

キャプテン渡辺と副キャプテン小林を中心に

サブの松村が大活躍。

2-2で完全にうちのペースで残り10分を迎えました。

しかし、完全決定機をFW峯岸が2本外し、

悔しい引き分けスタートのリーグになりました。

 

立川高校

立川高校はこの代のサッカーそのものを表していました。

立川高校はインターハイベスト16を達成したチームでしたが、

そのチームの引退試合がこのリーグ戦でした。

その相手に圧倒的なポゼッションから先制。

しかし土で落ち着かない中でミスが増え、

カウンターで失点。

とにかくこの代は相手と戦うというよりも、自分達のミスとの戦いでした

これが生みの苦しみか。と全員が感じる試合でした。

カウンターを受け続け、チャンスメイクをし続けても仕留めるまでの

力がまだなく、相手の少ないチャンスで勝負では負ける。

全員がこの不安と戦う日々を覚悟する試合でした。

 

八王子

リーグ1位を走り続ける八王子に対しては、

立川の反省を活かし、リスク管理をしながら

1-1になってから5-1に引きはがし、

今後の自分達の自信に変えていきました。

 

明大中野八王子

このゲームに勝利した方がこのリーグの1位にもっとも近く

なる試合でした。

結局は明大中野八王子が今年度1位でトップリーグに昇格します。

ただ、激戦と思いきや、まったくかみ合わない試合になりました。

明大中野八王子は勝負に徹した試合をしていましたが、

昭和第一学園はその勝負が重視された試合の中でなかなか

自分達のリズム感が出せませんでした。

つまり、力量が僅差のチームに対して、戦えるほどの質になりきれていない

という事実です。

アイデンティティを守りつつ「勝負」に徹することの難しさ

この尾は選手権1回戦まで引きずりました。

 

 

選手権が終わった瞬間のチーム全体の喪失感。

この正体は、「本当に自分達の求めてきたことはこれで良かったのか。」という

終わってなお残る疑問からではなかったでしょうか。

チャレンジし、敗れた。私もはじめての感覚でした。

 

 

八王子北

昭和第一学園はリーグ3位で最終的に終わりますが、

残り2試合を残して降格の可能性が残された立ち位置でした。

次の八王子北に勝利すれば残留確定でしたが、なかなかマッチアップが

決まらず、9月中旬まで延びたかたちになりました。

しかし、この試合こそ、本当の1年間の集大成になりました

チームの心臓太田を怪我で欠き、降格の可能性を孕んだ試合、

チームのサッカーが結実しました。

メンバー全員の「らしさ」が出た試合でした。

 

 

1年次から期待されながらもなかなか結果を出していけなかった藤が

最後は10番の価値を上げる圧倒的なパフォーマンスでした。

この選手に出会ったときに、どれだけの未来を期待したか知れません。

生意気さに我慢し続けましたが、このパフォーマンスが見られたので許します。

 

まじめ一筋でパフォーマンスの波を作らないハードワーカー、

一番信用を裏切らない選手、中山。本当に強く、うまくなりました。

 

Bから這い上がり、強さと技術を武器に本当によく成長した髙橋。

今でもAデビューした目白研新の試合は忘れません。

 

天性のコントールを持ちながらも強さに悩み続けた石田。

戦い出すのが遅すぎです。もっと化け物になったこの選手を見たかったです。

 

筋トレの時間をどれだけこいつと共有したかわからない、

インターハイのチーム内MVP落合。

副キャプテンをまかせて本当に良かったと思う選手です。

 

一声でチームを黙らせる力と圧倒的技術を持ち、皆が一目置く武蔵。

この選手のフリーキックの美しさは、3年間の自主練習の成果です。

センスの一言で片付けて欲しくない努力が詰まっています。

 

ハイボールの弱さを克服し、このゲームの主役に一躍躍り出た吉川。

このゲームの影のMVPだと思っています。

 

キックだけではなく、ヘディングの強さも評価していました。

まだまだやり込めたと思いますが、よくAにくらいついた松村。

 

お調子者すぎて何度干そうかと思いましたが、結局2年間使い続けてしまった

綾弥。こいつのボールのとられ方は許せないですが、おそらく一番美しく

得点をとり続けた、指導者としての価値観を変えてもらった選手でした。

 

自信をつける前に3年間が終わってしまった福田。

ただ、この選手こそ今までのサッカーのアイデンティティを色濃く受け継ぎ、

ヘディング最強を体現してくれていました。

 

2年次はレギュラーとして君臨しながらも、3年次はレイタにGKを奪われた三宅。

この選手のPKはもう一度見たかったです。

一つ上の選手権、間違いなく昭和第一の歴史に触れている選手です。

 

一番頑固で、一番ビックミスをしますが、間違いなく昭和第一の心臓で有り続けた太田。

この選手が実は、3年間のチームのサッカーに向かう姿勢を作っていた気がします。

良いチームにしてくれました。

 

最初あったときにこの選手のテクニックに驚愕しました。

ブラジル人かと思いました。つらい時期も多かったと思います。

伸ばしきってあげられなかった気もします。ただ、それでもよくついてきてくれた松澤。

もう一度テクニカルなドリブルからの美しいミドルが見たいです。

 

まさか最後に入ってくると思わなかった、犬のような爆発的スピードと強運を持った河岸。

夏前の体調不良時に、

本当によくフィールドから離れずにやり続けようとしてくれました。

 

一人になっても、つらくても、一度も辞めるという言葉を吐かず、

自分との戦いを制し続けた、チームの元気印の北川。

このマネージャーの孤独との戦いは、尊敬します。よく、頑張りました。

 

 

そして、チームの柱のタクミ。

漫画の主人公みたいな奴でした。こんなにまっすぐで、

こんなにチームを愛してくれて、こんなに尊敬されている奴は初めて見ました。

去年の米川とはまた違うカリスマでした。

今でも、このチームのキャプテンはこいつしかいないと思いますし、

監督として、心から感謝したい選手です。

そして、八王子北のPKの際、見ている人全員に、

「こいつは外す」と思われていたなさけないキャプテンも初めてです。

 

 

試合終了後、キャプテンの渡辺タクミが、

「自分達らしい試合だった。」と語りました。

この1年間を一緒に戦い続けた選手達と、近くで見ていた保護者しか

共有できない言葉だと思います。

相変わらずポカして失点していましたが、「美しく勝った」と思います。

この生みの苦しみは、次の代で活かします。

 

 

※Bチームにも一言

チームのGKにキックのアイデンティティを作り出した加藤。

本当にうまく、強くなりました。2014年のGKリョウの魂は、

こいつが受け継いでくれていたと思います。

 

急に大人になり、頼もしくなった浜野。

この選手のコーナーキックは、あと5年超える選手はいないと思います。

 

ポテンシャルチームNO1のハルキ。ボランチをしてからの成長ぶりがすさまじかったです。

欲を言えば、やはり圧倒的スピードでDFを置き去りにする姿をもう一度見たかったです。

 

チームNO1不安定のシンタロウ。

すごい能力を持ちながら、急に集中が切れるもったいなさ。

ただ、この選手がいなかったら昭和第一学園のコーナーキックでの

盛り上がりは生まれませんでした。歴史に残る貢献度です。

 

チームNO1のロングフィードを持つ御小柴。

きつかった日々を、自分で乗り越えた選手でした。

成長を邪魔していた自他への甘さは、最後のフィールドでは一切見えませんでした。

大器の片鱗を見せていたビッグプレーヤーが結実していく過程を見れたのは、指導者として贅沢でした。

 

センスとしか言いようのない得点能力を持った長崎。

朝練などで繰り返し練習している姿はあまり見ませんでしたが、

練習では身につかない勝負強さを持った選手でした。

 

遅刻魔土方。この選手もセンスの塊でした。石田と違うボールの失わなさ。

本気になっていたら化け物になっていたかもしれません。

監督が担任にもかかわらず、遅刻を繰り返す図太さは、本物です。

 

チームNO1の謙虚さのナオ。

この性格に似合わないビッグプレーが人を引きつけたのだと思います。

優しさと強さを持った、男らしさを感じる選手です。

 

ファイター千坂。なかなかスイッチが入らないですが、

おそらくフィールドで人のせいにしたりすることはなく、

ファイトし続けた選手ではないでしょうか。3年間での顔つきの変化が著しいです。

 

この選手を想像の枠でとらえることはできません。昭和第一のミニ戦車、木村。

恐ろしいスピードと強さ。怪我が悔やまれますが、最後までよくやりきりました。

 

個人的な感謝と謝罪を持っているのがツバサです。

ツバサは監督の私と一緒にやりたいと言ってくれて入学しました。

心から感謝しています。ただ、なかなか力を引き出して上げられず、

別のチームでやることも多かったです。

それでも、昭和第一の挨拶、気遣いは人一倍やってくれました。

ツバサがいてくれて良かったです。誰もが認める、チームの「善」の心の貢献者です。

 

リーダーシップを持ち、Bを躍進させたスグル。

なぜこんなに人を信じて、それをプレーに表現しようとできるのか。

持ち前の強さと明るさと共に、マネできない武器を持った選手です。

 

まじめな選手は多くいますが、まじめを武器にまで研ぎ澄ませる選手はそういません。

セイタロウほど学校生活でも、サッカーでも、

目立つような見かけの武器ではなく、深い本質的な成長を遂げた選手はいないのではないでしょうか。

 

昭和第一学園の中村俊輔、タスク。

この選手を考えると、本当に辞めないでくれて嬉しかった、

ということが真っ先に出てしまいます。

腹をくくった後のタスクは、すべてのサッカーに悩んでいる選手が見本にすべき姿でした。

「強い信念」を体現した選手でした。

その選手だからこそ、信じられない軌道の左足からのミドルが生まれるのだと思います。

 

怒鳴った記憶しかないワタル。

この選手との3年間を思い出すと、今でも怒りがわき出します。

しかし、それでも、フィールドでBの10をつけて頼もしくなった姿を見ると、

許せてしまう感覚になります。

ただ、許しません。いい大人になって顔出すまで、絶対許しません。

 

また、柴中も一緒です。許しません。

人の半分くらいしかトレーニングをやっていません。

今からでもシャトラン不足分を走らせたいです。

でも、よく辞めずに続けてくれました。

 

そして、部長のカツヤ。

ギャップでのボールの受け方は、おそらくAチームの誰よりもうまいです。

サッカーがフィジカルだけで決まらないということを何度も自覚させられました。

なによりもこの選手はチームの習慣を変えました。

いまだに仲間を誘って練習に来ます。

引退してもなお、尊敬できる人物です。

調子よくこなしていた部分もあると思いますし、

全然勝負の世界から見たら甘い選手です。

それでも、「この選手と出会えて良かった。」と心から思っています。

 

 

3年生全員、なかなか勝たせてあげられずに申し訳なかったです。

ただ、今後のベスト8は、君たちのおかげです。

 

いつでも、

今チームがあるという一番の感謝は櫻澤の代に。

チームの話し合いの感謝は川越の代に。

魂が作られた感謝は鎌田の代に。

勝負のための自己犠牲の心は杉浦の代に。

マネージャー含めたチーム作りの一体感は米川の代に。

 

そして、このタクミの代には、

 

サッカーの楽しみを教えてくれた感謝を、捧げます。

 

 

監督  鈴木 龍

 

※ちなみに、最初の2代、原田と大井の代は、

今の体制を受け入れてくれたことに、心から感謝しています。